屋根の種類について

今回は、「工場で使用されている屋根の種類とそれぞれのメンテナンス方法」などについて、
各屋根の特徴からメリット・デメリットまで詳しくまとめてみました。

 

Ⅰ.工場で使用されている屋根の種類
1.スレート屋根
1-(1)大波スレート
1-(2)小波スレート
1-(3)その他の波板建材

2.折板屋根
2-(1)はぜ締めタイプ(ハゼ式折板)
2-(2)重ねタイプ
2-(3)嵌合タイプ
2-(4)二重葺きタイプ
2-(5)わん曲加工

3.陸屋根

4.瓦棒葺き
4-(1)心木なし瓦棒
4-(2)嵌合タイプ瓦棒

Ⅱ.屋根材それぞれのメリット
1.スレート屋根
(1)メリット
(2)デメリット

2.折板屋根
(1)メリット
(2)デメリット

3.陸屋根
(1)メリット
(2)デメリット

4.瓦棒葺き
(1)メリット
(2)デメリット

Ⅲ.工場の屋根の種類別補修メンテナンスの内容
1.スレート屋根
1-(1)フックボルトの錆
1-(2)部分的な張替え・交換
1-(3)屋根カバー工法
1-(4)スレート波板への屋根塗装・外壁塗装

2.折板屋根
2-(1)補修
2-(2)塗装
2-(3)カバー工法
2-(4)葺き替え

3.陸屋根
3-(1)トップコートの塗り替え
3-(2)部分補修
3-(3)既存の防水層の上からウレタン防水
3-(4)下地にまで手を入れる全面的な防水工事
3-(5)陸屋根防水の種類
・防水性が高いアスファルト防水
・歩行しやすいゴムシート(シート防水)
・見栄えがよく防水性も高い塩ビシート(シート防水)
・メンテナンスしやすいエポキシ樹脂
・FRP(エフアールピー)防水
・耐熱性に優れたウレタン防水

4.瓦棒
4-(1)塗装
4-(2)重ね葺き(カバー工法)
4-(3)葺き替え

Ⅳ.工場の屋根の種類別 雨漏り対策・補修メンテナンス時期について
1.スレート屋根
1-(1)ボルトの部分の錆
1-(2)屋根材の劣化
1-(3)波形(大波)スレートの谷部にひび割れ
1-(4)付属設備の取合い部からの雨漏り
1-(5)壁と屋根の取り合い部(面戸部)からの雨漏り
1-(6)内樋の詰まり・孔開きによる雨漏り

2.折板屋根
2-(1)ボルトなどの錆び
2-(2)屋根材の色褪せや錆び
2―(3)屋根材の穴あきや変形

3.陸屋根
3-(1)排水溝の詰まり
3-(2)表面の色あせ、傷(ひび割れ)、浮き

4.瓦棒屋根
4-(1)色あせ(変色)したとき
4―(2)チョーキングしているとき

 

Ⅰ.工場で使用されている屋根の種類
1.スレート屋根
波板スレートには、1波の大きさによって大波スレートと小波スレートの2種類があり、
さらに大波スレートは2種類に分けられます。大波スレートと小波スレートは用途が異なります。

1-(1)大波スレート
1山(波の幅・ピッチ)が130mmで波の高さが38mmのもので、屋根材のほかに外壁材としても使われます。
厚さが6.3mmのものと8mmのものがあり、8mmのものは高強度大波スレートと呼ばれ、
曲げに対する強さが6.3mmのものの2倍以上にもなります。

大波スレート

 

 

 

 

 

 

1-(2)小波スレート
1山(波の幅・ピッチ)が大波スレートの半分以下の63.5mm、波の高さもほぼ半分の18mmです。
こちらは大波スレートとは違い、外壁専用として使われます。
しかし古い建物の場合は、屋根にも小波スレートが使用されている例もあります。小波スレート

 

 

 

 

1-(3)その他の波板建材
同じ波板形状をした屋根材として金属波板があります。スレートや金属を波形状に加工するのは、
水平方向に対する曲げの強さを確保するためです。
金属波板にも大波と小波がありますが、その大きさはスレート波板と全く違います。

スレート

 

 

 

 

 

 

  1山(波の幅・ピッチ) 波の高さ
大波(金属) 76.2mm 18mm
小波(金属) 31.5mm 9mm

 

 

 

 

半円型のアーチを交互に組み合わせた形状の波板はスレートであっても、金属であっても、
表面積を計算するのは難しいです。そこで、屋根塗装や外壁塗装をするために係数が用いられます。
この係数を見るとスレート波板は、大波であっても小波であっても、平面を塗る時よりも塗料が16%程度多くなることが分かります。

屋根の面積計算式

 

 

波板スレートの種類 ピッチ 係数
大波スレート 130mmの場合 1.154
小波スレート 63.5mmの場合 1.144
大波(金属) 76.2mmの場合 1.15
小波(金属) 31.5mmの場合 1.2

 

2.折板屋根
折板は、断面の構造に重点を置いて開発されたものであり、
大型・長尺屋根に調和する意匠性・強度・経済性を備える金属屋根の代表的な屋根工法です。
折板は梁や母屋に直接屋根材を葺くことができるため野地板がいらず、工期の短縮にも対応できます。
また、強風地帯においても強靭性を発揮するとともに、雨仕舞にも高い性能を期待することができます。
工法としてはまず、板厚0.6~1.2mmの鋼板を用いて、山高を大きく成型します。
3m~7m程度の間隔の梁の上にタイトフレ-ムを取り付け、その上に直接固定するという工法です。

ジョイントの方式により(1)はぜ締めタイプ(2)重ねタイプ(3)嵌合タイプがあります。
さらに、断熱材を間にはさんだ(4)二重葺きタイプや、(5)わん曲タイプにも加工することができます。
折板屋根は工場、倉庫、体育館など規模の大きな建物の屋根に多く使用されます。

2-(1)はぜ締めタイプ(ハゼ式折板)
梁の上に溶接で固定されたタイトフレ-ムの上に取り付けた緊定金具を2枚の金属屋根材の端部で挟み、
電動シ-マ-(締め機)で巻き込んで締めるため、防水性に優れています。
屋根葺き施工が屋根の上から行えることと、ボルトが不要になったため、コストがかからず経済的な工法です。

2-(2)重ねタイプ
タイトフレ-ムの上に取り付けた緊定ボルトに2枚の金属屋根材を重ねて取り付け、
ナットで締め付ける方式です。特に断面の強度に優れており、強風の地域においても強靭性を発揮します。

2-(3)嵌合タイプ
金属屋根材2枚を、固定器具である吊子でタイトフレ-ムに止め、継ぎ目の上からキャップをはめ込む工法です。
これにより屋根面にボルトが全く出ず、美観上もスッキリした屋根に仕上がります。

2-(4)二重葺きタイプ
快適な居住環境を実現するため、室内の温度変化を防ぎ、
外部の騒音を遮断する性能を叶えたのが二重葺きタイプです。
金属屋根材を二重にして、その間にグラスウ-ルという断熱材を挟んだ工法です。

2-(5)わん曲加工
軒先を曲げ加工することで、風雨の吹き込みを防止したり積雪・つららの自然落下を誘導して、
軒先や外壁を保護します。また、屋根全体が流れ方向にアーチを描く場合は、アール加工をします。
いずれも曲線を付けることで、意匠的にも優れた効果を得ることができます。

3.陸屋根
「陸屋根(りくやね・ろくやね)」は、平屋根(ひらやね)やフラット屋根とも呼ばれ、
屋根勾配のない平面な屋根のことを指します。

陸屋根

 

 

 

 

 

 

 

4.瓦棒葺き
瓦棒葺きには、心木あり瓦棒、心木なし瓦棒、嵌合タイプの3つの工法があります。
店舗や校舎、体育館などの中小規模の建物の屋根に多く使用されています。

4-(1)心木なし瓦棒
心木を入れない瓦棒状の吊子の間に、両端を立ち上げた金属板の溝板を設置し、
さらにキャップ(瓦棒包み板)をかぶせて仕上げる工法です。

4-(2)嵌合タイプ瓦棒
溝板、吊子、キャップを組み合わせ、固定するワンタッチ工法です。
心木あり瓦棒(釘で野地板に固定した心木)の間に、両端を立ち上げた金属板の溝板を設置し、
キャップをかぶせて仕上げる工法です。

嵌合タイプ瓦棒

 

 

 

 

 

 

Ⅱ.屋根材それぞれのメリット
1.スレート屋根
(1)メリット
・耐久性に優れている
耐用年数は25年以上と言われており、こまめなメンテナンスの必要がない点が最大の強みです。
ただし、波板スレート自体は強いものの、それを固定しているフックボルトなどは金属なので錆びやすく、
こちらは定期的に点検しなければなりません。

・耐火性に優れている
スレートは法定不燃材料であり、他の材料との組合せによりますが各種防火・耐火構造として認定されています。

・遮音性に優れた建材
厚さは6mm程度しかありませんが、工場や倉庫内の外部に漏れる音がとても少ないことが特徴です。
内部に伝わる音も少なく、雨の日も静かであるのは金属の建材と大きく違う点です。

・比較的安価な建材
建材としても安価な部類で、なおかつ上記の性能を備えているので
かなりコストパフォーマンスが高いと言えます。
ひびが入っていたり穴が開いてしまったりしているものも、気軽に交換によるメンテナンスが可能です。

・改修・メンテナンスでの税金面
老朽化した波板スレートを、同じ波板スレートで葺き替えたり張り替えたりする場合は、
一括損金で処理することができます。
税制面で優遇されていることにより、オーナー様や改修や補修の担当者の方もメンテナンスへの障壁が低くなります。

(2)デメリット
・土埃などが付きやすく、汚れやすい
波板スレートは表面がツルツルしていないため、
砂埃や土埃が付着しやすく汚れやすいというデメリットがあります。
砂埃や土埃が付着しても劣化や腐食することはないので、そのままにされることが多く、
見た目が悪くなってしまっている建物も多くなっています。
しかし、建物の見た目はその地域に住んでいる方々のイメージを左右します。
定期的にメンテナンスして美観を保つようにしましょう。

・アスベストが入っている(2004年以前のもの)
波板スレートに使われているアスベストはレベル3のもので、危険性が指摘されているものの中でも
一番安全度が高いとされています。
飛散の可能性も低いことから、防塵マスクをして湿式作業をすることが義務付けられています。
厳重管理が必要な特別管理産業廃棄物としてではなく、産業廃棄物として最終処分場に持ち込まれます。

  

  じん性アスベスト飛散危険度 建材の種類 廃棄物の扱い
レベル1 著しく高い 吹付け材

・吹付け石綿
・石綿含有吹付けロックウール
・石綿含有吹付けバーミキュライトなど

特別管理産業廃棄物
レベル2 高い 保温材・耐火被覆材・断熱材

・石綿含有けい酸カルシウム保温材
・石綿保温材
・屋根用折板石綿断熱材など

レベル3 比較的低い その他石綿含有建材(成形板等)

・石綿含有スレート屋根材
・石綿含有せっこうボード
・石綿含有サイディング
・ビニル床タイルなど

産業廃棄物

2.折板屋根
(1)メリット
・強度が高まる
折板屋根は凹凸した形状が特徴であり、屋根の強度を高めるというメリットがあります。
大きく長い屋根を作る事ができるため、様々な建物に利用できます。

・水捌けが良い
折板屋根はかなり軽量で、水はけが良いという点もメリットです。
軽量の為、建物への負担が少なくなることで耐震性を高める事ができます。

・加工しやすいので工期も短縮でき、工事費を抑えられる
折板屋根で使用されるガルバリウム鋼板は加工しやすいというメリットがあります。
組み立てやすく工期も短縮できるため、工事費を抑えることができます。

(2)デメリット
・錆びやすい
折半屋根の最大のデメリットは錆びてしまうことです。錆びは見た目を悪くしてしまう事は勿論、
放っておくと雨漏りなどの建物の老朽化に繋がるため、防錆加工などを施して錆びないように工夫する事が大切です。

・雨漏りしやすい(重ね)
ボルトで固定する重ねはボルトが錆びないように樹脂製のキャップを取り付けます。
この樹脂製のキャップは、紫外線に弱いものもあり、固くなって割れてはずれてしまうことがあります。
こうなってしまうとボルトが錆びだして、折板屋根にもサビが移り、雨漏りに繋がります。
外れてしまった箇所には錆止めを塗布してから新しいキャップを被せる施工をしましょう。

・耐熱性が低い
折半屋根は耐熱性が低い点もデメリットとして挙げられ、金属屋根のため暑さや寒さなどの
外気の温度に大きく影響されてしまいます。
現在では耐熱効果を高めた商品もあるのでチェックしてみてください。

3.陸屋根
(1)メリット
・屋上として活用できる
まず一つ目のメリットは、屋根のスペースを有効に活用することができる点です。
バルコニーやベランダのようなスペースとして使うことができ、日当たりが良いことから
ガーデニングや家庭菜園などにも向いています。
また、太陽光発電を設置することも可能です。
ただし、人が利用したり物を置いたりする際は、屋上利用を考えた構造が必要になるため、
場合によっては活用できないこともあるので注意しましょう。

・メンテナンスが簡単
勾配のある三角屋根と比べて屋根面が平らなことから、メンテナンスが簡単な点も陸屋根のメリットです。
清掃や補修工事を行う際に作業がしやすく、足場も必要ない場合があるためコストを抑えることもできます。
屋上としての活用を考慮して施工の際に階段を設けている場合は、よりメンテナンスがしやすくなります。

・建築スペースを広くできる
陸屋根は天井が平面であるため、三角屋根と比べると建築スペースが広くなり、
同じ天井の高さでも空間を広く感じることができます。
天井が低いと圧迫感が出て窮屈な印象になりがちですが、建築スペースを広く保つことで開放的に感じられます。

(2)デメリット
・夏場は最上階が蒸し暑い
屋根と天井の間に空間がない陸屋根は、建物の構造や材質、断熱材によっても異なりますが、
屋根に当たる陽射しによって天井面の温度が上昇しやすくなります。
そのため、夏場は最上階が蒸し暑くなる場合があります。
熱がこもらないようにするためには、屋根面を緑地化するなどの工夫が必要です。

・雨漏りしやすい
陸屋根のデメリットとしてよく指摘される点が雨漏りです。
陸屋根は平らな形状から三角屋根に比べると水はけが悪く、しっかりと防水処理をしておかないと
雨漏りする可能性があります。
「木造住宅は陸屋根にするのが難しい」といわれているのも、雨漏りの危険性が高いためです。
雨漏りがないように建築技術も向上していますが、それでも防水材料は年が経つごとに劣化するので、
定期的なメンテナンスが必要です。

4.瓦棒葺き
(1)メリット
・耐震性が高い
一枚一枚の金属板が長尺であるため瓦のように崩れる危険性が低く、
さらに軽い素材であることから地震時にも建物に大きな負担がかかりません。

・傾斜が緩くても雨漏りしにくい
継ぎ目がないため、一寸勾配(いっすんこうばい)という緩やかな傾斜でも水が流れやすい形状であるため、
滞留が起こりにくく雨漏りがしにくい構造になっています。
この屋根材の表面は平らで凹凸が全くなく、雨水を効率よく排水することができます。

・費用が安く済む
あらかじめ屋根のサイズに合わせて工場で加工した屋根材料を取り付ける施工方法であるため現場の作業が少なく、
他の屋根に比べると施工が非常に簡単なのです。
材料費が安く、施工方法も比較的単純であることから短い工期で施工が完了します。
工期が短い分それだけ施工費も抑えることができるので、費用を抑えた施工が可能です。

(2)デメリット
・断熱性が低い
瓦棒は金属であるため熱を通しやすく断熱性が低いため、
夏場の暑さや冬場は寒さをそのままダイレクトに反映してしまいます。
したがって断熱材の施工をしなければならなくなってきます。

・遮音性が低い
外の音が通りやすいため、雨が屋根を打ちつけると雨音が室内に響き渡るほど大きな音となることがあります。
古い体育館などの施設では金属板の屋根が使われていることが多いため、聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。

・サビが発生しやすい
塗装が劣化したり傷がついて剥がれたりすると、そこからサビが発生します。
発生してしまうと広がるスピードも早く、サビたことに気づかないまま放置していると穴が空き、
雨漏れの原因になってしまいます。

・固定する木が腐食してしまう
瓦棒にも金属板が被せられているため、基本的に内部に雨水が浸入することはありません。
瓦棒葺きは全面をほぼ隙間なく金属板で覆われる形であるため、雨漏りにも非常に強い屋根にすることができます。
しかし軒の部分は隙間が生じやすい部分のため、瓦棒が雨水を吸収してしまう可能性があります。
木材は湿ると腐食が進行してしまうので、屋根にとっては悪い状態と言えます。
瓦棒葺きはトタンを芯木に釘で打って固定していくので、
その芯木が腐ってしまうと強度を保つことができません。
経年劣化や軒先からの水の吸い上げにより腐食すると釘の部分が弱くなり、強風で外れてしまう危険性もあります。

Ⅲ.工場の屋根の種類別補修メンテナンスの内容
1.スレート屋根
1-(1)フックボルトの錆
耐用年数が25年以上と長く、ほぼメンテナンスを行うことなく50年以上経過しているものもあるという
スレート波板ですが、最初に不具合を起こすのが、固定しているフックボルトの錆です。
これらが錆びてきて、隙間などができてしまうことで雨漏りが発生することは、古い工場や倉庫でよく起こっている問題です。

フックボルトのサビ

 

 

 

 

 

 

 

シーリングやコーキングによってそれなりの対処は可能ですが、
いたちごっこになってしまうだけなので傷みが見られるフックボルトはすべて交換することをお勧めします。
新しいものへと交換したら、フックボルトの錆を防止するためにボルトキャップを被せることも忘れず行いましょう。
また、フックボルトが錆びてきて隙間ができてしまうと、スレート波板が動くようになってしまい、
強風などで飛んでしまいやすくなります。早めの対処で被害拡大を防ぐことが大切です。

1-(2)部分的な張替え・交換
工場や倉庫の出入り口などで多く見られる光景が、物品の運搬などの際にぶつけてしまい
穴が開いたり、欠けたり、割れたりしている破損部分です。
工場や倉庫は鉄骨に波板スレートを取り付けただけというような造りも多く、
穴が開くなどの欠損があってもその部分のスレートが腐食するわけでもなく、
他の部分への悪影響も少ないため、放置されがちです。
部分的に交換もできますから、早めに直しましょう。
また、飛来物などによって屋根の波板スレートが一部欠損してしまうケースもあります。
このような場合、その部分のみを交換してアスベストが使われていない波板スレートに張り替えることもできます。

部分的な張替え

 

 

 

 

 

 

ただし、一点気をつけなくてはいけないのは、全体的に老朽化してきた波板スレートで
傷んだ部分だけを交換することで、他の場所が悪くなる可能性もあることです。
雨水の流れが変わって他の部分の負担が増えてしまうからです。
このようないたちごっこを防ぐためには、交換によって影響が大きくなる部分も同時に交換することが大切です。

1-(3)屋根カバー工法
全面的な張替えや屋根葺き替えで問題となるのが、アスベストです。
アスベスト含有の屋根材を撤去・処分するためには、どうしてもその処分費が高くなってしまいます。

廃材をほとんど出さずにスレート波板の屋根の全面改修を行う場合は、屋根カバー工法が最適です。
既存のスレート波板の屋根の上に金属屋根材を被せるので廃材がほとんど出ないため、
産業廃棄物の処分費を大きく抑えられます。
また、屋根が二重になるので断熱性も向上します。
屋根カバーに使われる屋根材はガルバリウム鋼板が大半であり、
最近生産されているものは遮熱塗料が塗られているので、夏の暑さ対策にもなります。

1-(4)スレート波板への屋根塗装・外壁塗装
スレート波板へ塗装材を塗装することも可能ですが、さまざまな問題があります。
築数十年となると屋根材もいくらかは老朽化しており、あと何年持つか分からないということです。
老朽化しているスレート波板は予想以上に脆く、簡単に割れてしまうこともあります。

また比較的安全性が高いアスベストといっても、建物の規模などから社会的・環境的に
高圧洗浄を行うのは難しいです。
屋根が老朽化して脆くなっていると、高圧洗浄に耐えられない可能性もあります。
高圧洗浄を行わない方法もありますが、まだ一般的ではありません。

2004年以降に生産されたスレート波板はアスベストを含んでいないため、高圧洗浄も塗装もできます。
半円型のアーチを組み合わせた形状のスレート波板の表面積は前述のように係数を使って算出することができます。

2.折板屋根

折半屋根の最適なリフォーム方法

 

 

 

 

 

 

2-(1)補修
折板屋根はボトルからのもらいサビで、屋根までサビが進行してしまうことが少なくありません。
ボトルのサビを防ぐために、ボトルキャップを付けたりサビ止めの塗布をしたりする等の補修をすることをおすすめします。
屋根部分にサビが発生していたり傷が生じていたりした場合は、穴が開く前に補修をする必要があります。
テープやシールなど比較的軽度の補修で済むこともあるので、大規模な工事になる前にメンテナンスをしましょう。

2-(2)塗装
・屋根を触った時に白い粉がつく(チョーキング現象)
・屋根の色褪せが見られる
・屋根の表面にサビが見られる
これらの症状がみられる場合は塗装がお勧めです。ただし、屋根からの雨漏りがない事が前提です。
折板屋根の多くは固定しているナットとボルトから錆びていき、そのサビが折板屋根に移って劣化していきます。
これを防ぐためにボルトとナットに被せて水分を遮断するキャップがありますが、
取り付けられていない屋根が多いのです。単純に屋根を新しくするのではなく、
屋根に新しい機能を追加できるため遮熱塗料を採用する工場も多いです。

2-(3)カバー工法
折板屋根にもカバー工法を適用させることが可能です。
これまでの折板屋根の上に防水紙を敷き、その上に新しい折板屋根を被せます。
屋根の上にさらに屋根を被せるので重ね葺きとも呼ばれています。
これまでの折板屋根と新しい折板屋根の間に断熱材を挟みこむことも可能なので、
暑さ対策をすることも可能です。
折板屋根を固定しているところは丈夫でも、ところどころ雨漏りしている時に最適なメンテナンス方法です。
屋根全面を張り替える葺き替え工事と比べて既存の屋根を撤去する必要がないため、
安価かつ工期も短く済むのが特長です。

2-(4)葺き替え
既存の屋根を撤去して、新しい屋根に葺き替える工法を指します。
折板屋根がボロボロな状態で台風などの強風に耐えられないと判断した場合に行う改修です。
折板屋根を固定しているタイトフレームなども交換することができるため、
これまで以上に頑丈な屋根に改修することも可能です。
現在では工場出荷時に遮熱塗料を塗られた遮熱鋼板があるので、暑さ対策も可能です。
葺き替え工事を行っている期間中、一時的に工場の屋根が空になってしまうことから、生産施設などで採用されることは少ないです。

3.陸屋根
3-(1)トップコートの塗り替え
表面がざらついていたり色褪せてきたりした場合、トップコートを塗布して保護します。
定期的にトップコートを塗り替えてあげることで、防水層を長持ちさせることができます。
住宅にダメージを与えないためにもこのくらいの時期にメンテナンスしておくことをお勧めします。

陸屋根トップコートの塗り替え

 

 

 

 

 

 

3-(2)部分補修
屋根の表面の傷が小さく、部分補修で対応できる場合はその部分だけを直します。
傷みやすい排水口やドレン周りを部分的に補修したり、傷んだ排水口を交換したりすることもあります。

3-(3)既存の防水層の上からウレタン防水
これまでの防水はそのままにその上から液状のウレタンを塗布し、新たな防水層を形成する手法でした。
対してウレタン防水は、違う防水材の上からでも施工できるので、屋根リフォーム向きの防水方法といえます。
古い防水層などの撤去費用も掛からないのでお勧めの防水工事になります。

 

3-(4)下地にまで手を入れる全面的な防水工事
既存の防水層を撤去し、劣化した下地を補修して、その上に新たな防水層をつくる工事法です。
大規模な防水工事で、費用も高額となります。
一般的な他の屋根に較べると陸屋根は水捌けが悪く不具合が発生するとあっという間に悪化するため、
雨漏りなどの悪化スピードも早いと考えるべきです。
陸屋根のお住まいや建物を所有している方はそのことをぜひ覚えておき、
そのことを念頭においた上でメンテナンス計画を立てることが大切です。

 

3-(5)陸屋根防水の種類
・防水性が高いアスファルト防水
溶解アスファルトを用いてアスファルトシートを貼り重ね、防水層を作る防水工事法です。
アスファルト防水は接着性や耐久性、防水性能が高いため、古くから使用されています。
熱工法、トーチ工法、常温粘着工法などの防水工法がありますが、施工に手間がかかるため技術力が必要になります。

・歩行しやすいゴムシート(シート防水)
合成ゴムの防水シートを貼り付ける施工方法は、他の防水材料よりも相場価格が安く、
短期間の施工で済むメリットがあります。
ゴムシート防水は均一な防水層であるため歩行もしやすく、防水効果も高いですが、
紫外線・鳥害・衝撃などで劣化したり、接着剤の耐久性が弱まると防水性能まで低下したりする特徴があります。

・見栄えがよく防水性も高い塩ビシート(シート防水)
塩化ビニール樹脂の防水シートは、耐候性や耐久性が高く、
改修工事も行いやすいというメリットがあります。
柄や色も揃っているので、見栄えをよくしたい方におすすめです。
ゴムシートと同じように接着部分から防水性能が弱まる恐れがあるため、しっかりと接合しなければなりません。

・メンテナンスしやすいエポキシ樹脂
エポキシ樹脂は液状の防水材料であるため、
狭い場所や細かな部分も施工しやすいというメリットがあります。
凸凹した形状でも防水加工がしやすく、つなぎ目がないのも特徴です。
コンクリートやモルタルのひび割れ補修、防水にも適しているため、
エポキシ樹脂を注入する施工方法で外壁補修を行うこともできます。

・FRP(エフアールピー)防水
洗濯物などで頻繁に人が出入りする屋上などの陸屋根に最適な工法です。
FRP防水の床は、まず「FRP」と呼ばれるプラスチック製の繊維を敷き詰めたあと、
その上を樹脂で固める方法です。
デパートの屋上駐車場などにも使われる防水工法で、非常に丈夫な床に仕上げることができます。
人がよく歩くことのある陸屋根や、重いものを置く陸屋根に向いています。

FRP防水

 

 

 

 

 

 

・耐熱性に優れたウレタン防水
エポキシ樹脂と同様に、液状のウレタン樹脂を塗って防水層を作る施工方法です。
ウレタン防水工事は複雑な場所に向いていて、低コストかつ短期間で工事できるのがメリットです。
耐久性・耐熱性に優れていて、つなぎ目のないきれいな仕上がりにすることができます。
防水層を改修する際にも上から塗り重ねるだけでよいという手軽さがあり、広く使用されている防水材料です。

ウレタン防水

 

 

 

 

 

 

 

4.瓦棒
4-(1)塗装
トタン屋根は定期的に塗装することによって耐用年数を長く延ばすことができるのが特徴のひとつです。
その効果は塗膜の劣化や剥がれを防ぐだけではなく、サビの早期発見や防止にも繋がります。
穴が空いてしまうと塗装では対応ができないため、定期的な塗装によるメンテナンスが有効です。

4-(2)重ね葺き(カバー工法)
続いて、傷んだトタン屋根の上に新しいトタンやガルバリウム鋼板を上乗せする重ね葺き(カバー工法)です。
施工内容はとても単純で、古いトタンの上に新しいトタンやガルバリウム鋼板を敷くという施工方法です。
屋根の状態に合わせて防水シートや遮音シートなどを挟み込むことができ、効果の上乗せをすることも可能です。
屋根材もトタンではなくガルバリウム鋼板で施工することでさらなる効果アップが期待できます。

4-(3)葺き替え
サビなどによる劣化が進行し穴が空いてしまった等、劣化による損傷が激しい場合には葺き替えが必要となります。
トタン屋根で設計された建物は、その重量で構造が計算されていることが多いため屋根材を変えることはできません。
したがって葺き替えの場合も使用する屋根材はトタンやガルバリウム鋼板といった金属屋根となります。
現在ではトタンよりも性能が良いガルバリウム鋼板の価格が同じくらいになっているので、
葺き替えの際にはガルバリウム鋼板で施工する人が多いのです。
屋根の構造にもよって、瓦棒葺き屋根から立平葺きに変更することもできます。

Ⅳ.工場の屋根の種類別 雨漏り対策・補修メンテナンス時期について
1.スレート屋根
1-(1)ボルトの部分の錆
ボルト部分の錆による雨漏りは、波型スレートで最も多い雨漏りの原因になります。
経年劣化によってボルト部分に隙間が生じ、その箇所から雨水が侵入します。
ボルトキャップの取り付けなどの雨漏りの修理費用も安価に抑えることができます。

2-(2)屋根材の劣化
屋根材が経年劣化で穴が開いてしまったり、強風や地震などの外的要因によって
隙間が生じたりした場合に雨漏りが発生します。
小さな劣化症状であれば防水テープやコーキングのなどの簡単な部分補修により修理ができますが、
屋根全体が劣化している場合など、状況によっては部分的に張り替えなければいけない場合もあります。
屋根材が全体的に劣化している場合は、部分的に補修をしても再度別の箇所から
雨漏り等の損傷が発生する可能性があるので現地調査を行い適切に修理することが重要です。

2-(3)波形(大波)スレートの谷部にひび割れ
波形(大波)スレートの谷部にひび割れが発生すると確実に雨漏りに繋がります。
大波スレートのJIS規格が1964年、1974年、1977年と過去に3回改訂され、
その都度、曲げ強度の基準が向上しました。
1977年以降の屋根は比較的割れが少ないのですが、それより前の屋根は劣化が進行していると言われています。
ひび割れはシーリングやポリカ波板のカバー工法、スレート波板の交換などで部分補修されるケースが多いです。

2-(4)付属設備の取合い部からの雨漏り
屋根の面積が大きくなると、雨仕舞のカバー板金を繋いで施工されているため
経年劣化による隙間が発生し、雨漏りの入り口となります。

2-(5)壁と屋根の取り合い部(面戸部)からの雨漏り
1階の屋根と2階の壁との取り合い部(面戸部)からの雨漏りが発生することがあります。
波形の隙間を埋めるために樹脂製の面戸が施工されていますが、
面戸がずれることで隙間が発生して、強風雨などで雨漏りする原因になります。

2-(6)内樋の詰まり・孔開きによる雨漏り
内樋が設置されている工場も多くあります。内樋にごみが詰まって、
排水の妨げとなりオーバーフローしたり、内樋(金属製)が腐食して孔が開いたりすることにより
雨漏りが発生することもあります。
スレート工場の雨漏りは全体をメンテナンスするには、費用が高額となる場合が多いので、部分補修で対応するケースが多いです。

2.折板屋根
2-(1)ボルトなどの錆び
重ねタイプの折板屋根はタイトフレームの上からボルトで屋根材を固定しています。
最近では錆びにくいステンレスが主流ですが、それ以前のユニクロ(亜鉛メッキした鉄材)は錆びに弱いため
錆びが発生することがあります。
錆び程度であれば屋根の塗装に合わせて錆止めを塗るといったメンテナンスで良いのですが、
錆びが酷くなると腐食し、そこから雨水が入ることもあるため、交換が必要になります。

2-(2)屋根材の色褪せや錆び
屋根材表面の塗膜の剥がれや色褪せは屋根塗装補修のサインです。
塗膜が劣化していくことで水捌けも悪くなり、そのうち錆びが発生してしまいます。
この時点であれば錆びを落とし、屋根の塗装をすることで問題ありませんが、
メンテナンスをせずに更に時間が経過すると屋根材が腐食して穴が開くなどの破損が生じます。
ちなみに屋根塗装をする上で、折板屋根は台形に折れ曲がった形状であるため、
塗る面積は台形の折れ曲がった部分も含めて算出する必要があります。
そのため一般的には、折板屋根の塗装面積を出す場合は1.4、
もしくは1.7を水平投影面積(単純に屋根の水平方向の面積)にかけて算出します。

2―(3)屋根材の穴あきや変形
屋根材の穴あきも一部であれば部分的な補修もできますが、
範囲が広くなると葺き替え工事やカバー工法といったように屋根を新しくする工事が必要です。
葺き替え工事は既存の屋根材を撤去して新しい屋根材を設置します。
そのため、屋内での作業に制限ができ、店舗などの場合は営業ができないケースもあります。
それに対して屋根カバー工法は既存の屋根の上から新しい屋根を二重に作る工事です。
そのため、屋内への影響を少なくできたり廃材が少ないことで費用を安くすませたりすることもできます。

3.陸屋根
3-(1)排水溝の詰まり
陸屋根をよく見てみると、枡のように凹型になっていることが分かります。
これは降った雨が外壁を伝ってそのまま流れ落ちないようにしているのです。
陸屋根は屋上として利用されていなくても四方を塀で囲まれたようになっており、
塀で囲まれた内部の床は微妙な傾斜が付けられていて雨水が排水口へと集まるようになっています。
四方を塀で囲まれたような形状で排水口がつまってしまったら、そこに雨水が溜まってしまいます。
雨水が溜まれば当然、雨漏りに繋がります。
住まいの近くに木があるような場所では落葉などで詰らないようにしましょう。
近くに木がなくてもビニールのレジ袋やごみなどが風で飛来し、それで詰まってしまうこともあります。
梅雨や台風のシーズン前には点検してあげることが大切です。

3-(2)表面の色あせ、傷(ひび割れ)、浮き
陸屋根には防水層が設けられており、その上にトップコートが塗布されています。
防水層を太陽光や風雨から守るためです。表面の色褪せやざらつきはトップコートが劣化してきた証拠になります。
強風時の飛来物やアンテナの倒壊などによってトップコートが傷ついてしまうこともあります。
また、屋上でガーデニングなどを楽しんでいる場合、植木鉢を落としたり、
引きずったりすることで表面を傷めたり、防水層を傷つけてしまうことがあります。
また、防水層の下に入り込んだ湿気やヒビ割れなどによって、防水層が浮き雨水が溜まってしまうこともあります。

4.瓦棒屋根
4-(1)色あせ(変色)したとき
瓦棒葺き屋根は、表面の塗装が色あせてきたらメンテナンスが必要になります。
塗装の劣化が進んだまま放置しておくと、鉄板部分にサビが発生し雨漏りの原因になります。

4―(2)チョーキングしているとき
屋根を手で触ると白い粉が付着する場合があります。これを「チョーキング」といい、
紫外線や雨・風といった自然環境が原因です。
これは、塗膜が壊れ塗料がむき出しになっている状態です。早めにメンテナンスを行う必要があります。

 

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